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2019年4月11日木曜日

主観的介護ストレス評価尺度について

この論文はオープンアクセスにはなっていないのですが、ときどき使用される研究者がおられるので、一応書いておきます。

安部幸志(2001)主観的介護ストレス評価尺度の作成とストレッサーおよびうつ気分との関連について. 老年社会科学,23,40-49.
https://ci.nii.ac.jp/naid/40004307083

Abe, K. (2007) Reconsidering the Caregiving Stress Appraisal scale: Validation and examination of its association with items used for assessing long-term care insurance in Japan. Archives of Gerontology and Geriatrics, 44, 287-297.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16890304

このうち、老年社会科学の論文は、メディカルオンラインが使える環境にある場合は、ダウンロードが出来る可能性が高いです。Archives of Gerontology and Geriatricsは大学や施設が雑誌と契約していないとダウンロード出来ないと思われます。ただ、両方とも図書館等を通じてコピーの取り寄せは出来ると思います。

○目的
介護を要する高齢者における家族介護者の負担感を測定しようとする試みがいくつか行われています。有名なのはZaritの介護負担感尺度ですが、その後も様々な介護負担等の測定尺度が作られています。90年代初頭から心理・社会学系ではLazarusらのストレス認知理論に沿った研究が行われるようになり、「介護負担」ではなく「介護ストレス」として捉える研究が多くなってきました。ただ、「介護ストレス」として研究の中では扱っていても、もともと「介護負担」として作成された尺度を用いることが多く、ストレス認知理論における認知的評価としての機能を実証したものは数少ない状況でした。そこで、この研究では、既存の研究を整理し、理論に沿った機能を有する尺度を作成することを目的としています。

2001年の論文は尺度を作成し、因子分析や内的一貫性を検証した上で、ストレス認知理論に沿った機能を有するかどうか、実証したものです。
2007年の論文は、2001年の論文で作成した尺度の信頼性と妥当性を検証したものです。

○尺度の使用について
 この尺度に関して、著作権は放棄致しませんが、研究・教育目的であるならば自由に使用して頂いて構いません。事前・事後の許諾なく使用して頂いて結構です。なお、それでも倫理委員会等の規定で使用許諾の書類が必要な場合は、出来るだけ迅速に対応致しますので、ご連絡下さい。

○使用方法、信頼性と妥当性
 この尺度は12項目で構成されており、下位尺度として「社会的拘束感」と「身体的消耗感」の2つがあります。下位尺度はそれぞれ6項目ずつから構成されており、信頼性は「社会的拘束感」がα=.907、「身体的消耗感」がα=.906と高い内的一貫性が認められています。使用する際は下位尺度ごとに単純和を算出して下さい。また、因子間相関も高いため、「主観的介護ストレス」として単純加算した得点を使用することも可能です(安部、2001)。
 2007年の論文では基準関連妥当性を検討するために、Zarit介護負担感尺度との相関を算出しており、「社会的拘束感」が r = 0.71(p<.01)、「身体的消耗感」が r = 0.77 (p<.01)、主観的介護ストレス全体が r = 0.78 (p<.01)と、いずれもZarit介護負担感尺度と有意な相関が認められています。



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