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2019年4月2日火曜日

介護マスタリーの構造と精神的健康に与える影響

昔書いた論文で、現在オープンアクセスになっているものをリンクしておきます。

安部幸志(2002). 介護マスタリーの構造と精神的健康に与える影響 健康心理学研究, 15(2),12-20.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jahp/15/2/15_12/_article/-char/ja

https://doi.org/10.11560/jahp.15.2_12
(上記二つは同じリンク先となるはずです)

○目的
 マスタリーとは、ある問題に対する解決能力やその予期に関する比較的安定した自己知覚です(Pearlin & Schooler, 1978)。この研究では、マスタリーを介護場面に適用し、介護者の個人的能力や介護行動に対する肯定的評価として測定するための尺度を開発することを目的としています。
 マスタリーとセルフ・エフィカシーの概念の違いですが、セルフ・エフィカシーはある行動を遂行する前段階の予期として使用されることが多いと思いますが、マスタリーは一定の行動をすでに遂行済みであり、その結果を振り返って自己評価を行った結果として捉えうるものと考えられます。

○尺度の使用について
 この尺度に関して、著作権は放棄致しませんが、研究・教育目的であるならば自由に使用して頂いて構いません。事前・事後の許諾なく使用して頂いて結構です。なお、それでも倫理委員会等の規定で使用許諾の書類が必要な場合は、出来るだけ迅速に対応致しますので、ご連絡下さい。

○使用方法、信頼性と妥当性
 この尺度は10項目で構成されており、下位尺度として「介護役割への達成感」と「介護に対する対処効力感」の2つがあります。下位尺度はそれぞれ5項目ずつから構成されており、信頼性は「介護役割への達成感」がα=.819、「介護に対する対処効力感」がα=.751と高い内的一貫性が認められています。使用する際は下位尺度ごとに単純和を算出して下さい。また、因子間相関も高いため、「介護マスタリー」として単純加算した得点を使用することも可能です。

 なお、論文のPDFでは第1因子の名称が表中は「介護自己達成感」、文章中は「介護役割への達成感」としていますが、文章中の「介護役割への達成感」が正しい名称です。

 妥当性に関して、検証的因子分析結果から因子的妥当性は確認されていますが、他の妥当性を推し量る基準との関連については、検討の余地が残されています。

尺度の詳細については、上記URLにある論文のPDFを参照して下さい。なお、実際に質問紙を作成する際のイメージとして、尺度項目を画像で貼付いたしますので、ご参考になれば幸いです





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